ECOPAKという防水生地について

ECOPAKって何??

ULTRA200でご紹介した内容転機になってしまいますが、、、「ウルトラライトに敏感な方なら既にご存知の生地ですが、ECOPAKはチャレンジセイルクロスというスピンネーカーのメーカーさんが作り出した環境に配慮したリサイクルポリエステル生地」です。名前のECOがまさにそれで製造上で発生するCO2を削減し、ナイロンに比べ50%減となりますのでX-PACで使われているナイロンと比較するとどちらが環境に対してECOかは想像がつくと思います。

しかもX-PACと似たような顔ですが、縦長格子か均等格子で区別がつきます。

 

ECOPAKは生地によってそれぞれグレードが有り、、、

ECOPAKグレード

  • EPLX (Blue Ocean):100%リサイクルポリエステル。裏地は0.5milで耐久撥水加工(DWR)が施されております。
  • EPX(Green Mountain):100%リサイクルポリエステル。裏地は70Dのリップストップ生地で耐久撥水加工(DWR)が施されております。
  • EP(HYBRID):リサイクルと別素材で生産している新しい素材です。

 

X-PACのX格子柄は今や大手メーカーさんでも取り入れて使用するくらい知名度が上がってきておりますが、ECOPAKはまだそこまでではありません(2022年4月現在)。ですが、環境に配慮したこのリサイクルポリエステルを使うことで地球環境にやさしいプロダクトを生み出せるという観点で既に一部メーカーや個人製作家の方々が取り入れております。

まだまだ浸透していないですが、「ECO」PAKという名前の普及とその製造バックグラウンドが少しでも伝えていけたらという想いで今後しばらくの生産品はX-PACよりECOPAKを積極的に使っていく予定です。

スペックは??

僕のプロダクトでは先にご紹介したグレードの「EPX」というシリーズを使っています。

EPXのスペックは以下の通りで、、、

 

1:試験内容(標準引き裂き・引張試験):ASTM D2261

     Warp(たて糸):26.7ポンド(12.1kg)  / フィル(よこ糸) 24.8ポンド(11.23kg)

2:試験内容(耐摩耗性-ロータリープラットフォーム、ダブルヘッド方式) : ASTM D3884

     500サイクル

3:防水性:200+PSI / 13.8+Bar = 140,718mmH2O

 

となります。メーカー抜粋

 

防水性能は数字はすごく大きな数字になっています。一般的な防水生地で10,000mmH2Oの耐水圧生地がありますが、これは100mm×100mm(10,000mm)のサイズの生地に100kgの水がのってもOKという理解になります(あってるのか?)が、ECOPAK生地はその14倍。。。つまり10cm角の生地に14トンの水が乗っても破れないですよ。そのぐらい耐水圧が高いですよという意味になるそうです。(普通にカバンなどの小物に14トンの圧力が「点」でかかると真っ先に縫製部分や中に入っているものが圧力で壊れる感じですので現実的にその状況に出会うことは皆無かと・・・海で使うセイルクロスで津波に合うくらいが現実的です)

 

数値を見てピンとくる方は根っからのUL素材好きな方。

??と思われる方は以下で単純に試験結果の「数値だけ」を比較しているのでちょっと参考にしてもらえると、ああそのぐらい違うのかと何となく分かってもらえると思います。

 

X-PACとECOPAKのざっくりとしたスペック比較 (X-PACは210D / ECOPAKは200Dの数値で比較)

1: 耐水圧=ほぼ同等

2: 引き裂き・引張強度=ECOPAK200Dに軍配(試験方法によって数値は異なりますが上記ひっぱり引き裂き強度で比較すると58%程ECOPAKの方が強度がありそうです)

3: 摩耗性:X-PAC 900サイクルをクリア / ECOPAK 500サイクルをクリア  

 

となります。X-PACはよく使われている210Dシリーズです。摩耗性はX-PACに分があるのでよく擦れるボトムなどに使うと安心感はありそうですが、荷重がかかる縫製部の強さはECOPAKに軍配があります。

 

使う側としては「数字に惑わされる」と悩むところですが、個人的に使っていて顕著に差が表れないので好みでは?と考えます。

 

使ってみてどうか??

今のところ以前国内で購入していたX-PACくらいの価格(X-PACがかなり高騰しているので。。。)で以前のように使い易いというのが制作者側の気持ち(ちょっとほっとしております)です。

なので防水生地をふんだんに使いたい用途にECOPAKを積極的に取り入れることで、各製作者は理想とするモノづくりに向かえるではないか?と思っております。

僕のプロダクトではX-PACの生地がなくなり次第、YM Back pack(既にいくつか生産しているのでストックしており在庫販売も予定)やサコッシュに、そして直近ではYM Shoulderに既に採用しております。

まとめ

環境に配慮されつつも非常にコストパフォーマンスもよく、高スペックなECOPAKを使わない手はないので、今後積極的に取り入れて色んなものを作っていきたいと思っています。

X-PACは一つの王朝を確立し今やアウトドア品の生地の一角を担うようになってきましたが、それを追随しているECOPAKに今後注目です。

是非MOUNTDOORのYM Sholderもチェックしてみてください。